120年前に作られたルクスLXという明るさの単位。ルクスとは照明が当たっている平面(机面、床面)の水平面の明るさの事を指します。特にLED照明を使う場合、指向性が強いので局部的な平面の照度だけでは、実際に感じる空間の明るさとはかけ離れています。そこで新たにルクスLxとは異なる新基準が求められています。
瞳孔ルーメンPlmは「瞳孔:pupil」「放射束:lumen」でpupil Lumenの事で、最近では様々な照明の明るさを表す基準として用いられています。※Plm/wは照明学会での発表や国際単位系ではありませんが、照明権威の方々では標準的に使われはじめています。※ちなみにFeu(フー)という新基準もあります。
人間の瞳孔(絞り)は、明るさの変化に応じて目にはいる光の量を調節します。瞳孔は明るい所では小さくなり、暗い所では大きく開きます。人間の瞳孔は直径2ミリ~8ミリの間で変化するので、面積では16倍の変化が起きているのです。点光源に近い水銀灯やLEDはグレア(※不快感や物の見えづらさを生じさせるような「まぶしさ」)が多く、光量が大きければ大きいほど目を刺激し、瞳孔が閉じてしまいます。瞳孔が閉じてしまうと、その空間を明るく感じる事ができません。
一方、目に優しく広がる光が特徴のCCFLランプは、床や天井、壁も明るく照らし、1灯1灯の光が重なりあい隅々まで明るく照らす照明です。面光源で目に優しく瞳孔が閉じることもないので照度計の計測値の数値では
表すことのできない明るさを感じることができます。重要なのは、眩しい=明るいということではないということです。照度計では計測できない空間の明るさです。
PLmはこれを指数にしたもので、計算方法は各照明のlm値に PLMの係数を掛けて計算することにより算出されます。
CCFLは3波長蛍光灯と同じで係数1.58です。
例:CCFLアイナストロング : 1600 lm ×照明率1*補正係数 1.58 = 2528 plm ,
一般白色蛍光灯 : 3000 lm ×照明率0.7×補正係数1 = 2100 plm
日本国内で「明るさ感」の議論がされ始めたころ、オランダ・Philips社により希土類元素を使用した蛍光体が開発され、 赤・緑・青の波長を強調した3波長形蛍光灯(EX)が登場しました。この新型の蛍光灯は、それまでの白色蛍光灯の約70%の照度で従来の蛍光灯と 同等の明るさ感を心理的に得られると発表されました。 これは、同じ照度で点灯しても、3波長形蛍光灯は従来の蛍光灯に比べ、約1.4倍も明るく手元を照らすことができるということであり、演色性が高いことを示しています。 この点に着目し、「等しい照度点灯で約1.4倍の明るさが得られるのであれば、省エネルギーの観点から興味がある」と 研究に着手したのが、東京工芸大学の川上教授であり、川上教授は、この研究で人間の瞳孔の動きに着目しました。 3波長形蛍光灯によって増した明るさ感に対応して瞳孔の開度が減るとすれば、 その明るさ感の増加は心理的のみではなく、生理的にも
影響していることを検証ができるのではないかと考え、実験が始まり、 1986年に論文「照明の明るさ感と瞳孔の開度」が発表されました。川上教授の実験の結果は次のとおりです。 ① 3波長形蛍光灯(CCFLも)による照明は、白色蛍光灯に対して外界を明るく感じていることが確認された ② 明るさ感照度比の値は、Philips社の発表値と同様に約1.4倍の明るさが得られる ③ しかし、その照度比には個人差が認められた ④ 外界が明るいほど、照度比が大きくなる傾向がある